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吉田修一 「悪人」 [本]

吉田修一の大作「悪人」、一日で一気に読了!
一気に読めて良かった!テンション全く落ちず、流れも出来て気持ちよく読めた!

今回の作品は、いわゆる吉田修一的上手さが目に付くというより(上手いんですよ、勿論)
登場人物の細かな感情描写の上手さが際立っている。
全編、一人称で語られる書き方で、その一人称が10人以上出てくる。
で、それらが、それぞれの性格、その時の感情、テンション、自己分析を
こまーかく、繊細に、文章の運びや使う言葉を吟味して書かれている。
よく、「感情移入する」とか言うじゃないですか?
そういう事じゃなくて、それぞれの登場人物の感情や考え方がどこにあるのかが、
とてつもなく直接的に理解出来る。移入ではなく理解。

個人的に感じたテーマは、正義やモラルでは括れない突き抜けた現代の生(sei)
悪人というタイトル通り、一体「悪い人」という事の概念は何なのか?を
完全にフラットな視点で描いている。そこに答えなどない。
作者は、答えを提示したい訳でも、どういう風に生きろだの説教をしたい訳でなく、
ただただ、世の中の一場面を切り取っただけだ。
そして、読者に現代の生の地図を作らせる。その地図は、登場人物が織りなす形の起伏を捉える個人個人によって、全く違ったものになるだろう。
読後にそんな事を考えた。強烈に”ぶっとい”本でした。熱い!!!


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