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チャーリーチャップリン ライフ アンド アート [映画]

チャップリンの人生と作品を年代順に追って見て行くドキュメンタリー。

正直な所、普通位のチャップリン好きが観たって、全然面白く無いと思うよ。
ウッディアレンやジョニーディップやマーティンスコセッシのインタビューは貴重だと思うけど、
それだけの為にこの映画を観る必要は無いんじゃないかな。

この作品は、チャップリンを愛してやまない人と”映画”というものを勉強している人の為にあると思う。
前者の人に向けて言う事は何も無い。きっと私と同じように、上記の彼らの意見に頷き、又、批判を持ち、キッドや街の灯のシーンで泣きそうになり、今まであまり観た事が無い貴重なフィルムに感嘆する。内容の半分以上は既知の事だろうし、今までのおさらいとして、そして映画人としての人生を最初から最後までという形でまとめたものとして、資料的な価値は高いと思う。

どちらかと言うと、後者の映画の勉強をしている人に観てもらいたいな。と思った。
この話は、チャップリンの話ではあるが、普遍的な映画の作成方法のエッセンスが十分すぎるほど詰まっている。各有名人のコメントも正に映画作りのヒントをここから得た。というような話っぷりになっている。それらをシーンと共に噛み砕いて説明してくれているのだから、こんな素晴らしい教科書は無いと思う。

そう、この映画はそういう資料としての意味と教科書としての意味がある、なんていうか、学術的な側面の強い映画だなと思った。
だいたい、パンフレットが無いんだもん。おかしな話だよ。

この映画の存在によって、映画というもの自体が、さらに発展を見せる事を切に期待します。


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椿三十郎 [映画]

今、去年の映画カテゴリーの記事の数を数えたら22個だった。
うーん、すこし少ないかなぁ。。。30本はいったほうがいいね。
目標は50本!

さて、そんな訳で本年一発目は、椿三十郎@森田監督。

いやぁーーー!全然面白いです!!!!(褒め方おかしいのは、サウスバウンドと比べてなので)

ただ、これの一番優れている点は、もうどう考えても脚本!!
キャラクターの造形から、そこに絡む部分での話の持って行き方、舞台回しの上手さ。
何から何まで、完璧!!
最後の最後まで一分の隙も無し!!

そりゃあ、少々無理な点もあるし、(例えば椿が縛られる所とか)
人物を何人か省略する事も出来るだろう。(例えば風間杜夫とか、若侍もあんなにいらないし)
エキストラはすごく多いけど、主要人物がこれほど少なくて第一級のエンターテイメントを
作れるのは、すごすぎる!!!

黒沢版を見た記憶が無いので、なんとも言えないんだけど、かなり忠実なんじゃないのかなぁ。
カット割りももしかしたら、真似しているのかも。。そうしたら、撮る必要が無くなってきてしまうけど。殺陣もよかった。

この映画は、小道具はともかく、お話のノリは、時代劇に忠実である必要はあまり無いから、それもこの映画を爽快な物にしているのだろう。
とにかく、そこまで見込んでの作品で脚本なのだ!!!黒沢!ホントに素晴らしいすぎる!!!

中身をもう少し、掘り下げよう。
まず、初めに全体を通して、残念だけど、多分、もう無理な点をひとつ。
俳優人が、やっぱりもう顔の作りから時代劇に対応出来る訳ではないのだなぁ。という点。
せめて、ちょんまげにする必要はあったと思う。(確かに三船もちょんまげにしていないが)
織田もトヨエツも浪人だからなのだろうけど、長い髪をしばるだけではダメだ。そういう点も
含めて、絶対に武士には見えなかった。演技うんぬんの前の話。
ただ、それは、もう今の世で、時代劇を作る事の前提として、見るしかないかもしれない。
武士の一分でキムタクが武士に見えたのは、ちょんまげで、しかも、登城しない時は、
毛が伸びていたから。
ただ、織田裕二は絶対に侍には見えないね。
で、その織田裕二だが、悪く無かったですよ。やっぱり今の世で、あの役が出来る人はいないかもね。くったくのない演技というか、ゆるい時の演技は、はまっていた。なんつたって、比べる相手は、三船敏郎なのだ。織田も悪くなかったのだが、相手が悪い。
あのくったくの無さとまじめシーンの迫力は、やっぱり誰も真似出来ない高みにいるのだと再発見した。織田はまじめなシーンの迫力がやっぱり追いつかない。
しかし、くったくの無い笑い、笑いからまじめ、まじめから笑いへの変化は上手かった。
トヨエツも上の問題を除けば、ハマっている。あの人は、悪人がね、似合うんですよ、やっぱり。
しかもこうゆう孤高の悪人タイプが。もう少しだけ(もうホントちょっとのちょっと)暖かと鋭さの緩急が欲しかった。行き過ぎると脚本が壊れてしまうので難しいんだけどね。
松山ケンイチ君は、完全に脇でした。かわいらしい。このかわいらしさを森田監督は望んだのだろう。
そして、次に言うならば、やはり!というか、脚本の緩急に一番大事な役どころ、佐々木蔵之介でしょう〜。あの役ねー、もしかしたら難しいし、もしかしたら難しくないのかもしれない。。あの役で、日本で一番上手いのは、多分西田敏行。しかし、彼では年齢に無理がある。(西田敏行の長所は無論これだけではない)
佐々木蔵之介さんは、かなり幅の広い役者なんでしょう。間宮兄弟は見たいな。あ!間宮もそういえば森田監督でなかったか?!(※調べたらそうだった。そうか、彼も森田組の常連なのか。)

変な言い方かもしれないけど、こうゆう問答無用に面白い映画は、絶対条件が揃うのなら、リメイクされるべき!だと思う。
今回の場合、森田監督と織田裕二という事になるだろう。このようなリメイクを任せる事が出来る監督。例えば、私が一目置いている中堅監督(堤さんとか行定さんとか犬童さんとか三池さんとか)では、誰も帯に短したすきに長しみたいなイメージの中で森田さんになるかなぁ。
そして、織田裕二のような豪快なくったくさを演技出来る人もいなかったら、この企画は動けなかっただろう。
他の黒沢作品も、そのような条件が揃うならば、リメイクを是非していただきたい。
素晴らしい脚本は、何度でも映画化するべきだと思う。

ま、こんな生意気な感想を書く事より、再度、黒沢版を見直したほうがいいですな。
観るぞ!!!


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サウスバウンド [映画]

あまりの面白く無さにびっくりする???

画が頭にほとんど残らない。
結局、脚本が悪いんだけど、リズムも悪いし、森田監督?!一体どうしちゃったの???
椿三十郎に注力を傾け過ぎなんじゃないか??

ただね、原作本が面白かったというか、きちんと詰まっていてエンターテイメントしていて、
それを2時間の映画に詰め込むというのが、難しいだろうなー?!って思っていたら、
見事難しかったようで、
話の取捨をして、尺を合わせるのが精一杯だった感じにしか見えない映画になって
しまっていた。平坦なんだよね。話が。
一番悪い奴は、この脚本でGOを出した奴だろうけど、初めに立脚した時点で、もう少し
見えなかったのだろうか。テレビドラマの尺が無いと、とてもじゃないけど入らない。
いやー、久々にひどい映画を観た。

キャストは悪く無かったと思う。いや、むしろ、良いキャストだと思う。
ただ、沖縄の現地の人が、多分、そのまま出ている。昔、ニライカナイ
の時も書いたと思うけど、あれは映画という表現では無理がある。
何か、沖縄を題材にする時は縛りごとがあるのだろうか?

ひとつ、長女の役の子が、なーんかかわいくて、華がにじみ出てるなぁと思っていたら、
北川景子という最近名前はよく見る子だった。
嗚呼、売れて行く子というのは、本当に華があるのだなぁと思った。
松山ケンイチ君も出ているようで、というか、出ていて、確かにまぁ上手かったです。
地元の人かと思ったもん。
トヨエツもね、天海もね、そりゃあ、いいですよ。小説のイメージがそのまま役者になっている。しかし、この脚本じゃ、、、どうする事も出来なかったね。。

この映画、森田監督と原作とトヨエツに惹かれて観に行ったんだけど、
実は、入場券が、新宿のチケット屋さんで350円だったから行ったというのも
ありました。「なんで、こんなに安いんだ?」って思っていたんだけど、、、納得です。
情報が流れたんでしょうね。。。

椿三十郎に期待しますよ!監督!!


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グレン・グールド 27歳の記憶 [映画]

記録が残るって、いい事だなぁと思う。

先日、友人の家に招待された時、その友人の友人の結婚式の映像を見た。
その中に、その二人が出会った日の映像がたまたまあったそうで、
なんて、いうか、運命の日が記録されていたというのは、素晴らしい!
と思っていた。

この映画を観て、そんな事をまず思った。
1959年の映像である。
この時代に記録が残される事自体、当時、どれだけ、
彼がセンセーショナルであったかを物語る事実だ。
そして、この映像は、本当に記録されていて、良かった、
正に伝説の映像であろう。
27歳のグレン・グールドの普段と録音時の映像。

私は、他の映画を観た時に流れた予告編とチラシだけで、何故か強烈に惹かれて
観に行った訳であるが、広告から流れ出ていた、なんというか、「観なくては!」
という空気感を自分が読み取れた事を自分自身、偉いと思う。

ここには、天才が、切り取られている。

あれだけ、古い映像で、リマスターをしたとは言え、その天才的な音がくっきりと
表れているのは、脅威というか、本当に、本当に、彼が天才だからである。

音の、演奏の、中に感情が、刻まれているのが、素人でも分かる。
気持ち良さそうに、かつ、きめ細やかに、表現を注ぎ込む様が、
映像という、音と画像のメディアに刻み込まれている。

ピアノに向かう瞬間の集中力の高まる空気が、映し出されている。
軽い怒りの感情を音に入れて演奏しているのが、伝わってくる。
音の泡立ちと、その時の表情が映し出され、さらなる相乗効果を映像として生み出している。

音を、CDを、聴いてみようと思う。
そこにはきっと、今までに体験した事の無い、感情豊かなピアノが存在するはずである。

会うべくして、会った。久しぶりの運命の人である。


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グッド シェパード [映画]

ロバート・デ・ニーロ、13年ぶりの監督作品である。
そういう理由で観に行く。

が、!
こういっちゃあ、なんだけど、お話の内容に全く興味が持てなかった。
CIAが形作られていくまで。その中に家族の話が挟まれている。
いや、勿論、全然、良い作品だとは思う。このような作品は、絶対に世の中に必要だとは思う。
脚本もよく出来ていると思うし。(強引な所も結構あるけど)
ただ、これをデニーロが撮りたかったというのは、どうなのだろう。
彼の家族とかに関係のある事なのだろうか。
社会的な映画ではあるが、とても個人的な欲求から製作が始まった気がする。

映画で一番大事なのは、物語だと思っているので、その根本部分に興味を持てなかったので、
(だって、監督デニーロじゃなかったら、絶対行ってないもん)
つらかったな。
映画的映像という意味では、綺麗なシーンが何個かあったし、(船が離れていく所とか手紙を燃やす所とか)カット割りも結構好き。スパイものだから緊張感もある。良作なのですよ。

ただ、視点を変えると、芸達者が揃った映画だなぁ〜とは思える。
まさに、「結集」した俳優陣である。
マットデイモン、上手かった〜!!!幅広い年齢を演じた事もすごいし、常に緊張感とくたびれた感じが上手かった。インタビューでデニーロが信頼している。というだけある。この人は、正統派として、ハリウッドにがっちり入り込んでいるね。素晴らしいと思う。
ジョリーも素敵です。演出&俳優のチョイスが良かったのだろうな。今までと違った魅力が
出ていました。デイモンもそうだけど、老け役がはまるのは、演出かな。
デイモンの部下が、いい味出してんなーーと思っていたら、最後のクレジットを見たら、ジョンタトゥーロでした。素晴らしかった。デニーロ、上手い所選んでくるなぁ。。。
ひとつだけ、気になったのは、スパイの一人がね、あの「アメリ」の嫌な野菜屋の店主だったんだよね。あの人、もうあの店主にしか見えない。。。だから真面目で良い演技なんだろうけど、
なんか間抜けに見えてしまって、ちょっと彼が出てくる所だけ緊張感がやわらいでいた。(俺の目の視点でね。)
デニーロはね、やっぱり年に一本くらい彼の出演作は見たいよ。なんだか、わくわくというか、
ドキドキというか、彼は、「見ていたい」俳優です。

長尺だったし、良作だったし、最高の俳優陣だと思う。
ただ、このお話に興味を持つのは、やっぱり俺には無理だなぁ。。悔しいというかしょうがないけど。


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サッドヴァケイション [映画]

この映画を読み解くには、自分はまだ幼いような気がした。

もしくは、これから成長していく中で確実に身につけて理解出来るものであるような気もしたし、

もしくは、既に身についてはいるのだが、全く形が違ってしまっているのかも知れないとも思った。

ただし、この作品が、まごうこと無き、『映画』である事だけは間違いない!
映画という表現形態でしか、あり得ない、特別な作品である事は間違いない!

映画的なカット、映画的な表情の捉え方、映画的な脚本、映画的な俳優、etcetc..
そんなチープな言い方しか出来ないが、強烈に”映画”である事を感じる作品であった。

まぁ、しかし、浅野忠信を久しぶりに観た気がするのだが、強烈に上手い!!!
あれ、上手い?!って言ういいかたでいいのかな?素?
いやいや、素ではあるまい。空気創っちゃうんだよね。
監督さんの相性とか、演出との相性とかいろいろあるんだろうけど、
何気ないシーンであればあるほど、圧倒的に映画を映画たらしめる空気を作り出せるすごい俳優だった。逆に印象的な風景の強いシーンは、素のように振る舞う。これは演出か??

石田えりも表情いっぱつで持って行かなきゃシーンより、どうって事無い言い回しの含まれる毒みたいなものが、良かったなぁ。
そして、お父さんは、素晴らしかった!!あの人なんつったっけな。人物のディテールの組み方が素晴らしいんだろうなぁ。強烈な演出。
宮崎あおいも普通に良かったのだが、この中だと、普通ではどうしようもない。ま、そういう問題でもない。かな。
全てが青山監督の上にあった、ままに完璧な演出がなされたのだろう。

台詞の一個、一個もかなり良かった。リアル。練られてはいるだろう。
言葉を選ぶというより、俳優、キャラクターを選んで、言葉を造っている。
突き詰めてる。素晴らしい!!

分かりきれないと思ったのは、テーマというか、
演技とか台詞とかではない、
”一番”ガツーン!!と来なければいけない部分に対して、しっかりアプローチ出来なかった
と感じてしまえる部分。

映画としてのツクリが、とてつもなく良かった分、ここまで感じ取りたい!と思えるのだろう。
とにかく素晴らしかったデス!!

あ、あと、ひとつ、九州というキーワードも、は、もっと深く知っていれば、もっと面白かったんだろうなぁ。リアルだったり。


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めがね [映画]

こうゆう作品は、創るのが難しいと思う。
「たそがれる」事を作品にするのだから。

しかし、荻上監督は、まんまと撮り上げた。
この映画を撮る秘訣は、まずに、チームワークの良さ。
だと思う。脚本に合った、衣装、美術、ロケ、様々な”ネタ”を
プロ達が映画に仕上げている。
体操、料理、マンドリン、こおり、etc。。。
何も起きなくても、全く問題はない。
モノひとつひとつがストーリーを繋いでいっている。
そして、役者たち。
いいね。贅沢だね。この映画のペースでロケ地で過ごして出演したんだろうなぁ。
とバックステージが思い描けてしまえるようなリラックス感を出せる人たち。
そして、やっぱり、脚本。
随所に見せる言葉遊び。地図の話やメルシー体操は、絶妙だ。

この作品を観る事を選んだ人は既に「たそがれる」才能を持っているんだと思う。
なんて言うか、もうその事は知っていて、それを普通に魅せられた感じ。
すぐに「旅に出たいなぁ。」とは思わなかった。でも、こんな所にはいつか行けるかもな。
とは思った。
もたいさんがプログラムの中で言っていた。「すぐに”いい”って思える作品ではないけれど、じわじわくる。」と。
同じようなシチュエーションにそのうち会った時に、フラッシュバックでこみ上げてきて、
「この空気感を刻んでいる映画は、やっぱすごいなぁ。。。プハー(ビールを飲んでる)」
となるに違いないな。

まぁ、しかし、なんだ。
ビールというのは、休日の昼下がりに飲むのが一番正しい飲み方なんじゃないか?
と思った。
いつ飲んでも美味しいけど。他のお酒はやっぱり夜な気がする。
ビールは唯一、昼下がりのあまり強くない日差しが似合うお酒だと思う。


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エヴァンゲリヲン新劇場版:序 [映画]

あまり情報を入れないで行った。
今、HPを見てみたら、「REBUILD」なのだ!と書いてある。

確かにその通りね。
既にある物語を書き直したものだった。
でも、この10年のコンピュータの進化による製作状況の進化は凄まじいのだろう。
もう一回、同じ物語とはいえ、創り直したくなる気持ちは十分に分かる。
ただ、もちろん前作が色あせるような事はないと思うが。。

だけどね、面白いよ!
ストーリーを知っていようが、キャラクターを知っていようが、
要は、物語のスピードと情報量がね、この映画を唯一無比のものにしていて、
それ自体が、見所だから。
十年経っても、その肝の部分は、なんら変わってないから、面白い。
ATフィールド、マギ、セントラルドグマetc..
なんだか、わくわくする感じが、常に漂っているんだよね。
不思議だけど、当たり前のような気もする。そこのツボが入るように描いているのだから。
そう思うと、やっぱり、すごい。
人間の(日本人の)ツボが分かるんだもの。
まぁ、それだけのメンツを揃えて創っているしね。

単純にあと3作楽しもう!!


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ボルベール<帰郷> [映画]

ペドロ・アルモドバル監督の最新作。ペネロペ・クルス主演。
哀しくもおかしい女性達の人生讃歌。という宣伝文句。

ぶっちゃけて書くとすると、よく分からなかった。
分かったような気もするが、もっと深い視点があると思った。
分からない理由は、スペインという舞台の文化が分からない。
というのと、やはり女性達の精神を理解しきれているとは到底思えないから。

上記の事を念頭にしないと、脚本があまりにも無茶苦茶なのだ。
男はただひたすらに猿だし、作品のテンポを司る女性達の切れのある行動の数々も強引に見えるし、情熱もしかり。

ただ、これらの舞台を全て肯定して映画を観ると、美しく強く熱い女性達がギラギラと躍動する様は、畏怖の念を超えて神々しい。
ペネロペ・クルスはとにかく美しい。そしてその美しさを際立たせるように強い女性を演じきっている。アルモバドル監督が描きたかった女性を見事に演じたように思う。
日本ではSexyな部分の事ばかり触れた記事が多かったが、美しく強く生きようとする女性が
セクシーじゃない訳ないだろう。そして、それは此の国では日常の風景なのだろう。

日本映画にあるような画角、構図の美しさのようなものがあるわけじゃない。
米国映画のように脚本が洗練されている訳でもない。
でも、映画のとしての熱は強烈に持っている。
脚本や演技者だけではない、風土、風景、文化が放つ熱。
それは、的確に画面に焼き付けられている。
何度も出てくる暗闇の色が美しい。ボルベールを唄う主人公を泣きながら見る母親のシーンの色を含めた美しさ。土地の空気が見える映像。
監督が映画に焼き付けたかったものは、受け取れたと思う。
そして、そこにそれ以上の+αがあると思えるのだが、そこまでは見きれる事が出来なかった
のは、まだまだ人生経験が少ないとして、経験を積んで再度、彼の映画と向き合いたいと思う。


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岩井俊二初期作品集 「initial」 [映画]

DVDを買って、そのまま観ない事がある。
ま、そのうち観るだろう。という気持ちで置いてある。
買った時点で満足してしまって、そこで一度完結してしまう。

大好きな岩井俊二と言え、そんな感じで積み上げられた本の下の方にずうーっと眠っていた。
台風が来てくれて、良かった☆家に置かれなかったら、観るのはまた先になっていたでしょう。

初期のテレビドラマをまとめた作品集。
面白いものもあり、それほど面白くもないものもあり、でもとても面白いものもあり、
こうやって、数多の映像作家の中からフルイにかけられ残って行くのですね。
なんとなーく順を追って面白くなっている。テクニックが上がっているのでしょう。
全く、岩井俊二ですら、完成されたものがあるわけじゃなく、上がっていくのだから、
大変な話です。でも、根があるから大樹が育つのかな。。

夏至物語とオムレツが好きでした。
ルナティックラブはトヨエツがとても好きです。トヨエツファンが理想的なトヨエツがいます。
夏至物語は色と画と切り方と女優とがとても相性が良いと思います。
オムレツはいいお話で、やっぱり画作りが良いです。

そして、特典のインタビューがとても興味深かった。
自分の中で作品作りの方向性を客観的に(今だから言えたのかもしれないが)話しているのが、とても印象的。インタビューの中で語られる事なんて、考えている事の5%も出てないだろうから、この20倍くらい深い考察を行って、作品を創り続けているのでしょう。
己だけでなく、”時代”という言葉を使っているのも印象に残った。己だけでは残れない。時代だけでも残れない。

オムレツに関してはもう少し。なんとなく画作りの基本がある気がします。ダイニングテーブルの正面の画が何故か際立つ。他との組み合わせによるものか、目線の高さか、はたまた奥ゆきを見せるための物の置き方があるのか。役者の配置、もしくはライティング?
その全てかもしれないけど、なんだか素晴らしい。食卓の絵ってそそられます。食卓♪食卓♪あ!なんか思いつきそう。。

いろをいろいろけんきゅうけんきゅう


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