夜をゆく飛行機/角田光代 [本]
友人に借りて読む。
ぶっちゃけて言えば、「上手いんだけど、エモーションが足りない。俺には。」
という感じだった。
すらすら読めた割には、きちんと心に登場人物達が残ったし、物語としての
お話も好きだった。
ただ、これだけでは、何かが足りない。
そう、灰汁のようなもの。作家としての。
作者の顔が、性格が、見えてきそうな、はみ出した感が、無かったのだ。(これは、しかし、このお話だったからかもしれない。)
ただ、2、3カ所、ぐっと、というか、「頭にメモを取りたいな。」という箇所があったので、
それが、この人の灰汁ような気がするのだ。
結構、自分にとっても大事な事を気づかせてくれたりする事だったりしたから、
十分有意義で、いいもん貰った。とも思ったんだけど、
とっても好きな作家の場合、こうゆうシーンに出会うと、それこそ強烈な場合は、
頭をぶん殴られたみたいになるし、一瞬思考が断絶したみたいになる。
この本の場合、そこまで来なかったのだ。上にも書いたけど、
結構、最近の自分の行動とかを「治さなきゃ!」とか気づかせてくれてありがたかった
んだけどね。この灰汁をもう一度味わいたいというような中毒性のあるものでは無かったんだな。
かと言って、もちろん、つまらなかった訳では無かった。
だから、ここらへんは私個人との相性のような気がする。というかそうなのだろう。
この本を薦める事が出来る人。というのは、間違い無く自分の周りにもいますから。
一冊で決めつけるのは良くないだろう。又、チャンスを見つけて、チャレンジし、きちんと読んでみようと思う。出会った事自体は、運命なのだから。
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