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パンズラビリンス [映画]

麗美なファンタジーを想像して観にいったのだが、ぜんぜーん違って驚いた!!!

軸にあるのは、スペイン内乱の正に人間の恐怖である。
ここにファンタジー(しかもこちらも一筋縄ではいかない)を対比というか、沿わせるというか、なんとも独特な感性で共に描いている。
脚本だけを考えると、このファンタジー部分はかなり甘さが目立つ。かなり唐突すぎるし脈絡が無い。しかし、内乱のほうがあまりに重く、恐く、緊張感を強いる話なので、そこはそれほど気にする所では無いのかもしれない。
監督が描きたかった部分を理解するのは、ちょっと無理かも。。。
ファシズムの描写は、常に緊張感と恐怖が画面を覆い見事の一言に尽きる。この恐怖も描きたかったひとつではあるだろう。ここに主人公の女の子の孤独と恐怖を表現する為にファンタジーの要素を持ってくるという方法も分かる。そして、そのファンタジーもまるで現実世界との調和さえあるように緊張感を持っているのだ。

だからこの場合、物語の緊張感との対比として、映像の麗美を持ってきているのかもしれない。
というか、研ぎすまされた美しい映像の為に、物語があるような気がする。

とにかく”黒”が美しい。。
映画は、光の芸術だから、基礎となるのは、通常光なのだ。
この映画はむしろ逆。黒(つまり光を当てない部分)を見せる為に光が存在している。
しかも光を当てない事により黒を際立たせるという訳ではなく、黒を見せる為に光を利用している。
足し算で黒を強調しているのだ!!
この映像美には度肝を抜かれた。

そして、CGも信じられない位素晴らしい!!
どんな映画よりも昨今のCGの進化を感じさせられた。
ここまで違和感なく、CGキャラを合成出来るのか?!
妖精の動きの美しさは素晴らしい!!!本当に居るようにしか見えない。
うがった見方を途中していて、上記の黒はCGの違和感を消す為の手段なのかな?とも思った。
が、仮にそうだとしても、この美しさを汚すものでも何もない。

スペインの監督さんの描く世界というのは、俺には理解出来ないのかもしれない。
たしか、去年観たスペイン映画に対しても、同じように理解の範疇を越えているような感想を書いたと思う。
つまりは、文化的風土的な事なのだろうけど、そこがわからなくても、作り出される映像の凄さは伝わってくる。
世の中は広い。というか映像の楽しみ方は、本当に千差万別である。

本作。あまりにとらえどころが難しすぎて、判断をしかねる所がある。ありすぎる。
ファシズムの描写は、すごいと思いつつも、個人的には嫌悪を感じるほどだし、しかし、映像の素晴らしさは、ちょっと類が無い位すごい。お話は理解の範疇を越えているし、役者も強烈な個を放ってはいなかった。
好きか嫌いかと分けてしまうと好きではないという感じだが、この映像美は、他の作品でも観てみたい。
やっぱり、世界は広い。まだまだいろんなものを観続けなけれならない。という事を記して今回の感想は筆を置こうと思う。


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