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土門拳写真展 日本のこころ [展覧会]

土門さんのプリントをちゃんと観るのは初めてであった。
会場の伊勢丹の7Fの武蔵野市吉祥寺美術館は、いや、武蔵野市は彼の故郷の山形県酒田市と友好都市らしい。そんなの住んでる時も知らなかったぞ。

美術館に行って、まず驚いたのは入場料が100円だった事。
この時点で逆に、「この安さでは、あまり良い会場じゃないのかもしれないな。。」と
安さを嘆いた。
が、実際入ってみると、確かに展示室は4部屋の小さいものではあったが、十分見応えのあるものであった。正直ね、多分、あまりのたくさんの作品を一度に観る事出来ないよ、土門さんの作品は。特に古寺巡礼は。集中力がもたないと思う。ので、価格対効果で言うと抜群すぎるくらい抜群!

さてさて、感想をば。
まず、初めに自分が写真に向き合う時は、単純に「好き・嫌い」で観る事にしている。
好きの基準は、あまりにあいまいで広範囲だが、構図であり、被写体であり、関係であったり、色だったり、正直うまく言えないものだ。
だけど、そんな中でも「好き」はきちんと浮かび上がって来るのでそれでいいと思っている。
土門さんの場合でも、それこそ古寺巡礼に限っても、好きという範疇に入って来ない作品も多数ある。しかし、「ものすごーーく好き」というのが、とても多いので、好きな写真家となるのだ。

しかし、今回、古寺巡礼のプリントを観て、好き・嫌いとかの前に、
「すげぇ!!。。。!!!」という範疇に入る作品たちに出会ってしまった!!

写真が動いていた。写真の中で。
仏像に心が入っていて、笑ったり怒ったりしていた。
雪が降っていた。鳳凰は舞っていた。

本で見ていた好きな写真たちは、やっぱり好きな写真でもあったが、プリントとは次元が違っていた。すげぇ写真であった。
ただ、それ以上に本では、それほど好きとか思っていなかった写真も「すげーー!!!」
という好き嫌いを超えた感想を持つしか無かった。。。むしろ、好きな写真よりもこっちのほうが強く心に残った。
プリントや印画紙もものすごく高級なものを使っているのだろう。仏像の場合、基本的に一色バックという事もあるし、良いカメラとフィルムを使ってものすごい色の階調があるというのもあるだろう。しかし、その上に”動”の心、空気が写っている。

千手観音の手だけを撮った写真の手は、常にこちらに手刀が向かって来ていた。
本当に立体写真、立体映画を見ているようであった。

平等院鳳凰堂の鳳凰を茜雲をバックに撮った好きな写真があるのだが、その写真のコメントで土門さんが、「堂内の写真を撮り終えて帰ろうと建物を振り返ったら、鳳凰が動きまくっていて、急いで写真を撮った。」と言っていて、「それ以来、他の仏像等も動いてしまってしょうがない」と言っているのだが、正にそのとおりだった。
この文章を読んだ時は、その心情は十分に伝わっていたのだが、心情ではなく、本当に仏像達は微笑み話しかけてくるし、雪の五重塔の写真は雪が降っているのだ。

こんな写真が、こんな写真が、この世の中にはあるのだ。
決定的瞬間を撮るだけではない写真が!

土門拳を知った事が、やっぱり今頃になって、本当に運命なのだなと、じわっと来た。
一生のうちに手足の指の数(手だけじゃちょっと足りない気がする。)ほどの運命の人の
一人だ。
誰にでもこうやって動いて見える訳じゃないからね、きっと。運命がないと。

他の写真の事も少々。
雑誌の表紙の写真は、企画も構図も文章も面白い不思議な写真。三田佳子が、もうなんだか、恐ろしく美しい。吉永小百合と仏像がそっくりだったり、茶目っ気もあって面白い。
有名人を撮ったシリーズは、好きな写真とあまり好きでない写真がはっきりしていた。
棟方志功の写真はすっごーーく良い。あの写真は気心とか知れてないと撮れないだろうなぁ。
あれも空気が写っていた。
ここには無かったけど、岡本太郎の半裸で画を描いている好きな写真あったのだが、あれを撮ったのも土門さんだと今回知る。やっぱりどっかで繋がっている。

帰りに古寺巡礼の今年のカレンダーを買おうかどうか、かなり悩んで止めた。
あれだけ強烈なオーラを放つ写真を毎日観ていたら、自己嫌悪に陥る気がしてしまった。

しかし、いつか、あのプリントは手に入れてみたいな。。。
ただただ、今回は運命を感じて、感じて、締めの言葉になりませんです。はい。


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