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蜷川実花展〜地上の花、天上の色〜 [展覧会]

友人達と連れ立って、オペラシティに蜷川実花の写真展に行く。

正直に言ってしまうと、決して彼女の写真は好きでは無い。
但し、行ってみると、やはり一級線の写真家らしいプロとしての心得みたいなものは伝わってくる。

今回、それを感じたのは、”絞る”という事。
テーマ自体の選択の幅、距離、作法、点数を絞って絞って絞った上にある
作品群。という感じがした。
勿論、今回目にした作品達もシャッターを押した数は全然多いだろうが、
実際、「撮る」という段になる前に、様々に選択した上で、これらの作品が並んでいる。
という感じをひしひしと感じた。

続けていく上で、作品として出すものに対する覚悟。というかそぎ落としが、時代を重ねるに連れ、
格段に上がっていってるのだと感じた。
その裏には、なんとなくこの人は、もっとたくさんのモノを撮りたいのではないか?
(もしかしたら実際撮ってるのかもしれないし、撮ってないのかもしれないし。今回は、小さな片にしてたくさん並べていた。ここには色んなものが写っている)
色々な興味あるテーマ、被写体が、たぁくさぁんある気がしたのだ。
しかし、それをいざ「作品」とする場合には、テーマも被写体もそれこそ写真の点数も、
ギリギリまでそぎ落とした上に、この目の前にある作品達が並んでいる。という感じがした。

それが、他の写真家より、深い。というか、この人の興味のキャパはもっと広い。ような気がする。
それを全部出さない事が質を高めているのだろう。
その代わり、でもないんだろうが、広告、ポートレイトは、クライアント被写体ありきだろうから、
様々な事をやっている気がする。
そのバランス感覚も含めて、プロの写真家であるな。と感じた。

好きな写真は、チラシにも載っていた桜の散る夜の写真。と地面に散った桜の花びらを撮った写真。
この二枚は、誰でも撮れそうだし、思いつきそうなのに、多分撮れない。それほど美しい。と思った。
ポートレイトは唯一、たけしのが、良かった。極彩色ではなく他のと違ったからかもしれないけど、、、
たけしの一面を良く表していると思った。

さて、あと、これは写真展そのものではなく、個人的に気持ちいいと感じた事で、そこに意図は無かった
んだろうけど、(ここからは展示のネタバレになりますので、気をつけて下さい。)
金魚の部屋が、部屋全体で作品のようで、居て飽きなかった。
片面の壁に大きく水槽内の金魚の映像を流し続け、映像と周りの写真が綺麗に見えるように入り口を
遮光した為に、部屋に閉塞感が生まれ、大きな水槽の中に居るような気になった。
そして、観客自体が水槽の中で泳いでいるように見えた。
壁際に張り付いて、映像を見続けていると、その観客自体が、金魚のように、そしてその閉塞感から
少し空気の足りない金魚のように空間を口をぱくぱくしながら泳いでいるようであった。
暗がりの中、スクリーンの光を顔に受けたりしながら、しばしの水槽を泳ぎ、また次のフロアーに
流れていく。そしてまた、別の金魚達が、この部屋に送り込まれていく。
両脇の写真と映像という構成が、人の流れをこのように魅せるように働いていた。
見事なインスタレーションになっていた。(俺の目にはね)
ひとそれぞれの感じ方の違いだなぁと人ごとのように思った。

帰り、展覧会のグッズをひとつ買った。
こっちはネタバレになるので言わないけど(笑)、このグッズのラインナップはなかなか
良いのではないでしょうか?!

今回のように、自分が興味が無くても、一流と言われる人の作品展は、誘われたら出来るだけ観に行くようにしようと思った。
自分の観賞、感度レベルを上げる為にも必要です。

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