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MY BLUEBERRY NIGHTS [映画]

ウォン・カーウァイの初海外作品である。
どうやら、監督さんというのは、違う言語で撮りたくなるものらしいね。
黒澤もやってたし。

映画のプロダクションの順番がわからないけど、彼はどうやって、ノラジョーンズ(ノラは途中で点を打たない方が字面がかわいい)を主役に据えるなどという発明をしたのだろう。
話の大きな流れはたわいのないものなのだ。
となると歌を歌っている姿を見ての一目惚れだったんだろうな。
彼の自分の映画を見据えるセンスはすごいなーと思う。

まぁ、とにもかくにもこの映画は、ウォン作品であり、ノラジョーンズの映画である。
絶対的な映像美とそのロケーション及び演出、絵の据え方、スピード。
どこをどう切ってもウォン作品にしか見えない。それがまず心地よい。
ネオンと夜。これにイロを付ける、ものすごい被写界深度の浅いざらついた映像。
海外で撮ろうが、どうだろうが、人との距離を的確に表す演出の為に保たれるこの映像は唯一無比である。
脚本の前に映像が物語を支配し語りかけてくる。
話はとてつもなくシンプルで大きく3カ所の場所の物語。しかし、それがとても味わい深く、時間に無駄なものがほとんど無い。そして、絞りきった出演者がそれぞれに素晴らしい。そのチョイスがまず素晴らしい。これだけの人数で話が全くつまらなくならないのは、やっぱり、その場所、場所が演者と共に物語を紡いでいるからだろう。それを狙っているのだから、彼の映像美はやはりとてつもない。
そして、ノラジョーンズがとっても自然。そう、自然なのだ。これも監督の意図する所だったのだろうけど、演技を求めたんじゃなくて、動けるような場所を作ってあげたんだろう。その中でノビノビやってる。
前に一枚目がグラミーを獲った時にプロデューサーの人が、「彼女がただ唄ったら良いものが出来たんだ。」みたいな事を言っていたはずなんだが、それと同じ感じがする。実際すごーく細かく見ると、演技してないな。みたいのも見えるんだけど、(歩き方とかね)それは監督が必要としていない部分だろう。
ま、その前に俺がノラジョーンズがとってもタイプだから贔屓目に見てるというのもある。。。
その他の演技人たちは、もう100点満点の出来だろう。ジュード・ロウは、もっとかっこいい人のはずなんだが、あえて2.5枚目位にして、どこにでも居る兄ちゃんになっているが、丁寧に役になっている。
ウォン監督の手腕か?他の看板の警官にしても、その妻にしても、ナタリーポートマンにしても、自然だー。そして、なおかつ重厚に役の性格を被っている。
とにかく映画として、演出が的確に図抜けている。
ウォン・カーウァイは、世界のどこででも自分の映画を撮れる事を証明したわけだ。これはとてつもない事ですよ。やっぱり。

脚本って観点で見ると、少々破綻(説明不足)してしまっている箇所もあると思うけど、
脚本主義の俺が観ても、全然そんなの関係無く「とっても良い映画」に見える。
それほどにとにかく演出がすごい!!

ウォン・カーウァイ。強烈にイロがある素晴らしい映画人です!
また全く毛色の違うロケでやって欲しいなぁ。。
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